先日、「受動喫煙について」取り上げるメディアの方からご相談がありました。服に付いた「たばこの臭い、煙は完全に洗濯で落とせるのか?」というご質問です。
喫煙者で大変気にされている方も多いと思います。
普段仕事の依頼で、落としていることは落としているのですが、厳密に完全除去できているのか?
詳しい訳ではないので調べて見ました。
「水洗いがよい」と経験的には感じておりますが、ご家庭ですべてが安心して洗える訳でもありません。
プロとしても成分が何かわからいと、水洗いのいいのか?ドライクリーニングがいいのかもわりません。
「そもそも煙は何なのか?」
植物を燃やした時に発生する微粒子(PM2.5より小さい)であることはわかりますが?
そこでネットにはいろいろ書いてありますが、厚生労働省から報告が一番ということでそれを参考にします。
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宅配・保管クリーニング(ラクリ)
たばこ煙の成分(平成11-12年度たばこ煙の成分分析について 厚生労働省の調べ)
①一酸化炭素
②水分
③ニコチン
④タール
⑤カルボニル類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、クロトンアルデヒド、 ME、 ブチルアルデヒド)
⑥ベンゾピレン
⑦窒素化合物(NO、NOx)
⑧シアン化水素
⑨アンモニア、
⑩有機化合物(1,3-ブタジエン イソプレン アクリロニトリル ベンゼン トルエン)
⑪ニトロソアミン化合物( NNN NAT NAB NNK)
味や、体内にニコチンを運ばせるためや、フィルターを使用するためたくさんの成分が煙に含まれてしまいます。ニコチン・タール以外にもいろいろありテンコ盛りな訳です。
これらの沢山の成分が微粒子となって服に付着、水分を結合してしみ込んでいるわけです。
多くは水に溶ける成分ですが、一部に有機化合物が含まれているので染みついた嫌な臭いが、ドライ・水洗いのどちらかの一筋縄の洗い方で、落ちない訳がよくわかります。
基本的には、クリーニングでのご相談であるヤニの臭い汚れは、私は水洗いが一番と思っております。
何度水洗いしても丈夫な衣類は、臭いが残りにくいからです。
この問題はアウター類やスーツについてのご相談が一番多いので、その時どのように対処しているかご説明します。
①たばこ以外の理由でも服は汚れているので、しっかり液体を通せるドライクリーニング(有機溶剤使用)します。(油性汚れ、微粒子をしっかり機械力で落とします。)
ドライクリーニングは有機溶剤という液体で洗浄します。水より比重が軽いので機械で回転させても衣類をやさしく洗えます。また天然素材が使用されている衣類は水分を与えて揉むと収縮や変形しやすいのですが、有機溶剤の中では衣類にしみ込んでもそれがほぼ起きないというメリットがあります。)
経験上は洗浄後、少し臭いは落ちますがスチーム等で仕上げると大変臭うことがあります。
②落ちてないと判断した場合、30℃程度の水で衣類になるべくダメージを与えないように、1点の衣類を中性洗剤を入れて20分程度漬け込んで、その後ウエットクリーニングを行います。
洗剤のほか、防縮剤、防臭剤、仕上げ剤等を一緒に添加します。水溶性(水に溶けやすい)の成分が多いのでこれで大半は落ちます。
③それでもダメな場合(ヤニの黄変が残っていたり、臭いが残っている)は酸素系漂白剤を使用します。これは全体を浸け込んだり、部分的に気になるところにピンポイントで処理します。
④洗いはここまでと判断したら、よく濯ぎます。と言っても2回濯ぎで、濯ぎ水をこまめに取り換えて、押し洗い程度です。(衣類によっては水中で揉むと収縮・変形しますので注意やりすぎはダメ)
⑤これでも臭いが残っている場合は、スチームが出るボックスに衣類を入れて蒸しながら乾燥させます。蒸気で臭いの成分から臭いを出し切ってしまう発想です。
⑥乾燥後、冷ましてまだ残っている臭いを、スチームアイロンのスチームでさらに追い打ちをかけます。
まあ大体こんなことを行っています。しかし、部屋で喫煙される方のお部屋で、半年以上経つと、服がスモークされていてそれでもまだ残るのが現状です。
では「家庭でできる臭いの撃退法、クリーニング店の活用?!については次回に続きます。(あくまで除去100%は無理です!)
(文/Yoshihiro Tamura)
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