今日は藍染半纏のお洗濯についてです。
お祭りの季節です。各地でお神輿を担ぎになる方も多いでしょう。
着古す程、味わい深い風合いになる藍染の半纏は、祭り好きの勲章でもあります。
神輿好きが憧れるのが藍染の半纏ですが、すごく汗をかいたり、汗や雨で色が出た入り、何かと扱いに難しいものです。クリーニング店でも、藍の染料がすぐに出てくるので取り扱いには大変注意して洗っています。
そんな藍染の半纏ですが、お祭り用品の中でもお手入れ方法がかなり特殊です。
新品の半纏は、染料が生地に十分定着していないので、ちょっと濡れただけでも脱色したり変色したりしてしまいます。
半纏を販売されている方が言うには、粋な祭り好きの方には藍染半纏は購入後2年間は着ないという方もいるそうです。染料が時間とともに定着するのを待ってから使用するということです。
理屈はそうですが、せっかく購入したのに2年間も使用できないのでは困りますよね。
大体の方は購入した年に使用すると思います。
販売元では、汗をかいても、雨に濡れても、2年間は、陰干し、拭き洗い程度をお勧めしているようです。
え!2年も洗濯できないの?それが日本の伝統工芸品の特性であると。
しかし洗いたい!クリーニング店も依頼された以上は洗いたい。
そこでご家庭での洗濯時の取り扱い方法を調べてまとめてみました。
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①他の衣類とは決して洗わない。
水に浸けるだけで定着していない染料が洗濯水に出て他の衣類を藍色に染めてしまう可能性があります。
②裏返して洗う。
脱水時に絞りシワ部分など突起した部分が、半纏同士で擦れ、線上に毛羽立して白いラインがでてしまう可能性があるので念のため裏返しましょう。
③アルカリ洗剤、漂白剤は使用しない。使用したい場合は「おしゃれ着用の中性洗剤」がよろしいかと。
洗剤を使用すると、藍(あい)はアルカリ性の水の中で色が出やすくなります。
洗剤の使用を禁止する情報もありますが、出た染料を半纏の白い部分に再付着させないために私は、「なにかしら洗剤は必要」と考えます。
漂白剤を使用すると、藍(あい)と漂白剤が化学変化を起こし生地がボロボロになってしまいます。藍で染まっている部分と染まっていない部分の境目の生地が溶けてボロボロになった事例もあるそうです。ご注意ください。
④洗濯する時は1点を桶、バケツに水道水だけで、やさしく押し洗いしてください。
洗濯機を使用してもよいですが、洗濯機が藍で汚れる場合があります。後で洗濯機を洗うはめに。
⑤色止めのためにお酢を入れるのはオススメしません。
アルカリ性の水より、酸性の水の方が染料が流れないという理屈でお酢を入れるのですが、現代の藍染製品は化学塗料も入っている場合もあります。逆に酸性の洗濯水で変色する可能性があります。
⑥水洗いした後は軽く絞って陰干しします。
洗濯機で絞り過ぎると、半纏同士で擦れ白化することがあります。また藍の染料も多く流失してしまいます。天日干しは紫外線で藍が変色・脱色する恐れがあるので陰干しです。
⑦干すときは着物専用のハンガーのご利用をオススメします。
乾きにくい生地で、長時間湿っていると色が出てきてまだらに可能性があります。なるべく広げて風通しが良い状態で早く乾かしましょう。
日光に当たると色あせ、変色の原因になりますので、陰干しが原則、扇風機などで送風しなるべく早く乾燥しましょう。
クリーニング店では、染料が出ても再付着しない移染防止剤とか防縮剤などを駆使して洗浄しますが、ご家庭では、その材料が手に入りにくいので、おしゃれ着の洗剤が無難ではないかと思います。
毎年初めて半纏に袖を通すときは、わくわくしますね。
楽しいお祭りを楽しんだ後は、来年のために半纏をすっきり洗って保管しましょう!
(文/Yoshihiro Tamura)
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