今日は、あちらこちらで使われているキーワード「マイナスイオン」についてお届けします。
マイナスイオンってよく聞きますが、どんなものかご存知ですか。
電化製品などに「マイナスイオン効果」を謳っている製品もありますね。また、アルカリイオン水や水素水など最近よく耳にしますが、それの効能にもマイナスイオンの話がございました。でも、ちょっと行き過ぎた表現もあるようです。
では実際に、マイナスイオンって何なのか、どんな働きをするのかを考えていきましょう。
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マイナスイオンですが、科学用語では存在しません。マイナスイオンで通じるのは日本だけです。正確には「アニオン」と呼びます。
原子が電気を帯びると「イオン」と呼びます。
陰(マイナス)極をアノードと呼び、陽(プラス)極をカソードと呼びます。陰イオンはアノードのイオンだから「アニオン」、陽イオンはカソードのイオンなので「カチオン」と呼びます。
イオンは、主に水中に存在します。森林や滝の近くでは、水が粒子状に飛び散っていることが予想されるので、その中にマイナスイオンが存在する可能性はあります。
しかし空気中にマイナスイオンが存在するような環境は、電気放電やプラズマが発生しているような場所で、そのエネルギーが原子から電子を奪いマイナスイオンが発生しているでしょう。しかし、こんな危険な環境では、人は生きていけません。
従って部屋の中で、ぷかぷかマイナスイオンが浮いているイメージは、現実では存在しません。
時に、こと洗濯に関してマイナスイオンがどのように関わっているのか考えたいと思います。
マイナスイオンが沢山存在する水の中では、固体の表面にマイナスの表面電位が発生します。これはマイナスイオンが、固体表面のプラスの電荷を奪い去り、固体表面にマイナスの電荷が残るからです。
マイナスイオン水の洗濯液の中でも、繊維や汚れに同じことが発生します。ですから繊維と汚れは、プラスどうしで弾きあいます。つまりはマイナスイオンにより、汚れが繊維から離れていくのです。この作用を分散力と呼び、洗濯においては重要な要因です。
通常の洗濯においてはマイナスイオン水を使用しませんから、マイナスの電荷を発生する役目はアルカリ剤が担います。
アルカリ剤の役目というと、皮脂分のケン化とかたんぱく質の溶解やキレート作用などを思い浮かべるのですが、実はアルカリ剤により洗浄液にマイナスイオンを存在させて、汚れをマイナス電荷により分散せる働きもあるのです。
洗濯と言えば、界面活性剤による可溶化の働きで、汚れを浮き上がらせて落とすと考えがちです。しかし未来の洗濯では、可溶化の働きプラス、マイナスイオンにより電気的に繊維と汚れを分散させる働きが、主流になっていくのではないかと思います。
その根拠として、以前はアルカリ剤を使用して、アルカリ性で洗濯することによりマイナスイオンの効果を得ていましたが、現在では中性の分散剤が存在し、中性の洗濯液でマイナスイオンによる分散効果を得ることが出来るからです。
実際に市販の濃縮洗剤では、洗濯時の界面活性剤濃度が0.03%程度と大変低くなっておりますが、これでもしっかりと洗浄性能を発揮します。これはDLVO理論と呼ばれるコロイド凝縮理論を洗濯に適応して、ある種の高分子ポリマーを使用し疎水性コロイドを形成し、低濃度の界面活性剤でも十分な洗浄力を発揮できるためです。
難しくなって恐縮です。マイナスイオンを取り上げると、どうしても科学の話になるのですが、でもやっぱりお洗濯は科学だと思います。
その科学が、よりよい消費生活に寄与するように、これからも事あるごとに解説していきます。
(文/Takeshi Tsukiyama)
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