ドライクリーニングの優位性
家庭洗濯とは水洗いのことであり、水洗いとは手洗いや洗濯機の使用に関わらず、水を使用して洗う限り水洗いに分類されます。
使用される洗剤や薬剤に「ドライ」の表記があろうとも、その洗剤・薬剤を水で溶かした洗浄液で洗う限り水洗いであるには違いなく、「ドライ」と呼ぶは商品名と認識するのが妥当でしょう。
従ってドライクリーニングが出来るのは、認可を受けたクリーニング所だけなのですが、そもそも何故ドライクリーニングが必要なのでしょうか。よく言われるのは、ウール・シルクなど水洗いでは縮みや型崩・シワの潜在化などが発生してしまうために、繊維にダメージを与えないためのドライクリーニングの必要性です。
着物などの和裁はときほどく(分解)することを前提としており、和服は分解して洗うことができます。正絹が洗いで縮んでも、反物の状態にして「ゆのし」と呼ばれる蒸気をあてて引っ張り伸ばして元の状態に戻し、そして再び和裁で着物に縫い直しする、素晴らしい和服文化があります。
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宅配・保管クリーニング(ラクリ)
それに対して洋服は、人体の体型に合わせた立体的に服地を裁断して、体型に合わせたカーブを描くように縫製されます。従って洋服はシルエットが美しく、その文化を育んできました。しかし問題は、その服地の素材が天然繊維で、水洗いすると縮みや型崩れ、シワの発生で切られる状態でなくなる事で、実際に19世紀前半まで、ヨーロッパではジャケットなどのアウターは、洗う発想さえ無かったと言われます。
それが洗濯可能になったのは、取りも直さずドライクリーニングの発明でした。
その発明のエピソードは、19世紀の中ごろに、たまたまジャケットについたテレピン油を拭き取ったら、その部分がキレイになったとか、テーブルクロスにランプ油をこぼしたので拭き取ったところ、その個所がキレイになったなど諸説あります。
いずれにしろ、偶発的に油が付着して、それを拭き取ったところ汚れが取れたことと、拭き取った個所の繊維に、縮みやシワの発生などの変化が無かった事、それが洗濯への応用とつながり、洋服が洗濯できるエポックとなったのです。
ここにドライクリーニングが登場しました。そして1855年のパリ万博で紹介され、その後は、驚くほどの速さで世界中に広まりました。
日本でも1859年に横浜で「西洋洗濯屋」として開業されており、その広まりの勢いを物語っております。
今まで洗えなかったスーツが、ドライクリーニングにより洗えるようになった。ドライクリーニングの発明は人々にどれ程の感動と、それからの生活の変化の影響があったのでしょうか。そう想像してみると、本当に素晴らしい発明だったと思います。
時代を現在に戻しましょう。
現在の日本のドライクリーニングでは、その多くが石油系のドライ溶剤を使用しています。石油系ドライ溶剤以外には、フッ素や塩素・臭素が構成する物質のハロゲン系ドライクリーニングと、シリコン類のドライ溶剤を使用するシリコン系ドライクリーニングが、日本で使用される主なドライクリーニングです。
それぞれ特徴がありますが、どれも水のように繊維を膨張させることが無いので、ウールやシルクなどの天然繊維を傷めず、縮みやシワの発生が最低限に抑えられるのです。
しかし疎水性(水に溶けない)であるかために、汗などの水溶性の汚れに対しては脆弱であることは否めません。
それは今後のドライクーニングの課題であるとともに、現在でもウエットクリーニングなどそれを補完する技術が進化しております。
ドライクリーニング用のソープ(洗剤)なども進化しており、今後の技術革新を大いに期待しております。
ドライクリーニングのもつ優位性を理解することにより、より質の高い消費生活になる事と確信します。
(文/Takeshi Tsukiyama)
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