しみ抜きのワンポイントアドバイス part3 ~何故 漂白剤を使うのか~
リンゴの皮を剥いて、しばらく置いておくと変色してしまいます。これを防ぐには、塩水にりんごをつけたり、またラップでしっかりと密閉する方法もあります。
リンゴのポリフェノール成分が、空気中の酸素と結合して酸化し変色するのですが、これらの方法は、その酸素との結合を妨げるために変色を妨げるのです。
しかし変色したリンゴは、塩水につけても元の色には戻りません。無論、変色してからラップでくるんでも意味はありません。塩水では、酸化したポリフェノールを元に戻すには至らないからです。
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変色したリンゴを元に戻すには、酸化したポリフェノールを還元反応させる食品が必要です。それは搾りたてのオレンジやグレープフルーツのジュースです。(濃縮還元だと変色をさせない程度で、変色を戻すのは難しいでしょう)
これはオレンジやグレープフルーツ成分のビタミンCが、リンゴの酸化した成分から酸素を取って元のポリフェノールに戻るからです。ここで間違ってはいけないのは、酸素がどこかに飛んでいくのではなく、ビタミンCが酸素を取り込んで酸化していくから、リンゴのポリフェノールが還元されて元に戻るのです。
お洗濯においては、漂白剤の働きもこれと同じです。漂白剤が酸化反応をするためにシミが還元されて汚れを落とします。
ただし、よく認識して頂きたいのは、漂白剤を使用して酸素原子は取り除きますが、その他の汚れの成分を取り除くわけではありません。汚れを取り除くのは、あくまで洗剤の働きです。
しかし幾らキレイに洗っても、汚れがゼロになる訳ではありません。それこそミクロの世界ですが、木綿などの複雑な構造の繊維には、汗成分の皮脂が千分の一のパーセントで残ります。しっかりと洗えていれば、その程度の汚れの残留は問題ないのです。
しかし、何らかの条件がそろってしまうと、残留した皮脂成分が酸化して黄ばみとなってしまうケースがあります。これは稀な事ではありません。
「洗ってしまっておいたシャツが、一年ほどして出してみると襟が黄ばんでしまった・・・。」こんな経験が無いでしょうか。
漂白剤の効果として、衣類に最低限残留した皮脂分を酸化させない、また酸化しても還元させる為に使用するのが、その理由の一つであると言えるでしょう。
また酸化した皮脂は、脂肪酸が発生しますので、嫌な臭いの発生にもつながります。漂白剤は、この様な臭いの防止にも効果があります。
夏場の汗は、脂肪酸を含んだ皮脂が分泌されます。お洗濯時の漂白剤の使用は、この時期には特に効果があるでしょう。
勿論、素材により漂白剤の使用が好ましくない繊維もあります。事例といたしまして、肌着の一部分にナイロンが使用されていたものがあり、それを漂白したところ、その個所だけ変色したケースがありました。
ナイロンやアクリル、また天然繊維ではウールやシルクは、使える漂白剤に制限があったり、使用できない漂白剤もあります。
衣類のケアラベルと漂白剤の使用方法は、必ず確認しましょう。
(文/Takeshi Tsukiyama)
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