天然繊維は動物や植物の繊維ですから、もともとそれを餌にしていた虫が、衣類の天然繊維を食べて穴をあけてしまう事は、決して特別な事ではありません。
それも人の生活範囲の近くに生息している、カツオブシムシやイガなどは、いつの間にか衣類に付着して穴をあけてしまう事があります。これらの虫から衣類を守る頼もしい味方として、タンスやクローゼットの入れる防虫剤があります。
防虫剤の種類として、昔から樟脳やナフタレンなどがあります。また現在では、パラジクロロベンゼンがよく使用されています。
これらは、特有の臭気があります。実際に高濃度だと、健康にも影響を及ぼします。厚労省が空気中濃度(室内濃度指針値)0.1ppm以下(240μg/m3)に基準を設定しております。
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樟脳は、楠から抽出された精油成分を結晶化して作られます。古くから中国・台湾そして日本でも作られてきました。
血行促進や鎮痛作用・消炎作用があり、昔は薬としても用いられました。また強心剤としても使用されたので、オランダ名のカンフルからカンフル剤の語源ともなりました。
防虫剤しては、和服や日本人形など正絹の保存に使われましたが、金糸や銀糸また金箔や銀箔などに、樟脳が直接触れると光沢が無くなるので、絶対に金糸や箔などと直接触れないように使用しください。
ナフタレンはナフタリンとも呼ばれ、広く防虫剤として使われてきましたが、その強い臭気から現在では敬遠され気味です。
パラジクロロベンゼンも似たような性質ですが、これらは誤って誤飲した場合、その処置方法として牛乳は飲ませる事は厳禁です。乳脂肪成分に溶け込んで、体内に吸収されるために大変危険です。
防虫剤として、このナフタレンとパラジクロロベンゼンとの違いは、パラジクロロベンゼンは成分の気化が早く即効性があり、ナフタレンは気化が遅く穏やかな効能があり効果が長続きします。
パラジクロロベンゼンは気化の速さから、金糸やラメ・金属ファスナーなどに気化ガスが悪影響を及ぼすことがあります。また50℃を超えると溶けだす恐れもあります。
この三種類の防虫剤は、互いに同時に使用すると凝固点降下と呼ばれる現象を起こし、
常温でも溶けだしてしまい衣類についてシミになります。従って、それぞれを混ぜて使わないようにしましょう。
防虫剤としてもう一つ、それはにおわないタイプのピレスロイド系と呼ばれる薬剤で、殺虫剤の一種となります。殺虫剤などに使用されるエトフェンプロックスや虫よけスプレーに使用されるDEET(ディート)など、これらも合成ピレスロイド系の殺虫剤の一種です。
衣類の防虫剤に使用されているピレスロイドは、アレスリン・ベルメトリン・エムべトリンの三種類です。これらは低濃度で効果が高く、ゆっくりと気化して長期間一定の効き目があるように作られており大変使い良いのですが、難点として無臭なので効果が切れていても気が付かない事があります。
使用期間は必ずチェックしましょう。
防虫剤は気化しても、空気よりも重たいので必ず下の方向に行こうとします。ですからクローゼットやタンスでも、高い位置から置くか吊るすようにしましょう。
また、気化した防虫剤が入り込む隙間が無いと、その効き目が巧く働きません。収納は詰めすぎないように、これは衣類の為にも大切なことです。
(文/Takeshi Tsukiyama)
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