生活で使用する洗剤の中には、様々な化学物質が入っています。
日々の生活で使用する洗剤ですから、その化学物質が人体に何らかの害があるのではないか、などと懸念されることは御座いませんか?
そんな化学物質の一つ、洗剤によく使用されている蛍光増白剤について、いろいろな角度から解説いたします。
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◎蛍光増白剤とは蛍光増白剤は、目に見えない太陽光線などの近紫外線を吸収して、目に見える紫もしくは青の光に変えて発する染料です。
紫や青の光が増すことにより、淡黄色を中和して衣類がより白く見えるのです。
◎蛍光増白剤のリスクネットで「蛍光増白剤」を検索すると、その危険性について沢山のサイトがヒットします。それらを概ねまとめると、発がん性の問題・皮膚への刺激などがあります。
その根拠として、食品添加物として法的に認められない事と、日本薬局方にてガーゼや脱脂綿には、その使用を認めていないことをあげています。また発がん性も指摘され、それの根拠として、蛍光増白剤には発がん性物質アミノスチルベンの存在を述べています。
◎発がん性について私が大阪クリーニング専門学院の講師になり立てのころ、とある文献で「1971年、ドイツの研究所での、蛍光増白剤の発がん性に関しての報告」を読んだことを記憶しています。但しその文献では、その実験以降様々な再実験を行われましたが、発がん性は確認できなかったそうです。
しかし、これだけでは何か胡散臭く感じてしまいます。発がん性が認められないというだけでは、何かの陰謀でも動いているのかと疑ってしまいます。
ですからクリーニング学院の授業でも、この文献に添って確認できる事実関係だけを講義していました。
しかし、それだけに留まっていては、大阪府指定職業訓練校の授業として如何なものかと思いまして、更なる授業内容のステップアップを目指して再度調べてみました。
そしてある事実を知りました。
◎名称と化学構造発がん性の根拠として、「発がん性物質アミノスチルベンを蛍光増白剤が有している」とされていますが、そもそもこの名称が紛らわしかった様です。
一般的な蛍光増白剤の正式名称は「ジアミノスチルベン系蛍光増白剤」ですが、これはジ・アミノ・スチルベン・ジ・スホルン酸を中間原料にして生成されます。
この名称がややこしいく誤解を招くのでしょう。
このジアミノスチルベンジスルホン酸を生成して作られる「ジアミノスチルベン系蛍光増白剤」と「発がん性物質アミノスチルベン」とは、よく似ているようですが、全くの別の化合物で化学構造も全く違います。
従って、この時点で「蛍光増白剤はアミノスチルベンにて発がんする説」は、誤解であったと言えます。
◎ジアミノスチルベン系の発がん性では、そもそもジアミノスチルベン系蛍光増白剤に発がん性があるのかの問題ですが、スイス・ロマン癌予防センターが2年間に及ぶ動物実験を行い、そのデータが公開されています。
この実験では、経口投与や皮下注射を繰り返され、その結果ジアミノスチルベン系蛍光増白剤は発がん性物質ではなく、また自然発生腫瘍に対しての相互発がん性も無いと結論づけました。
◎皮膚障害についてもう一つの問題点の、毒性についてはどうでしょうか。
飲み込んでしまった際の急性毒性は、最も影響の出ると思われる数値で、食塩より高くアスピリンより低い程度です。
実際の使用で、それほどの量を飲み込むことは考えられないので、急性毒性はまず無いと言えるでしょう。
気になる皮膚障害ですが、欧米では人に対してのバッチテストが行われており、その中でもドイツで2000人規模の蛍光増白剤へのバッチテストが行われました。
そのデータによると、皮膚への異常は無かったと報告されています。但し、気になる症例もあり、ごく少数ではあるものの一時的に皮膚が発赤した事例もあったようです。
しかし洗濯では、洗剤と一緒に何度も濯がれるので、洗濯後の皮膚障害はまず心配ないといえますし、その様な洗濯による皮膚障害の事例は見つかりませんでした。
◎そもそもの誤解では何故、日本薬局方ガーゼや脱脂綿は蛍光増白剤の使用を禁止しているのか。また食品の容器や包装への使用を禁止しているのか。
日本薬局方 第42条 医薬品等の基準では、「本品に暗所で紫外線を照射するとき全面に染着した蛍光を認めない」とあります。これはリサイクルされた繊維の使用を認めていないからで、蛍光増白剤の毒性の有無を指摘しているわけではありませんでした。
食品やその容器への使用については、どうでしょうか。
食品添加物は、食品の加工や保存するために使用する化学物質を、安全に使用するための基準と認可です。蛍光増白剤の場合は、加工や保存するための使用は、まず無いので食品添加物として認可を受けていません。
そして食品衛生法では、食品添加物して認可していない化学物質を、食品に触れる容器などへの使用を禁止しています。そのために蛍光増白剤の使用は禁止されており、蛍光増白剤の毒性の評価ではありませんでした。
◎・・・では安全なのかただ、先ほども述べたように蛍光増白剤の毒性は、全くないわけではありません。健康へ対する影響は「少ない」という意味です。
しかし「0」では無い。何万分の一でもリスクがあるなら危険ではないか・・・。このように考えられる方もおられるでしょう。
蛍光増白剤のみならず、他の添加物にも言えることですが、ゼロリスクは存在しません。しかし、正しく使用する範囲では、安全に使えるはずなのです。
蛍光増白剤の場合、その使用方法では何度も濯がれて、残っているのは繊維に固着した蛍光増白剤ですから、それが人体に影響するかは疑問です。それより蛍光増白剤は染料ですから、生成りやパステルカラーの衣類には不向きです。また使用量を間違えると、白い衣類がくすんでしまいます。

例えば、蛍光増白剤入りの洗剤に蛍光増白剤入りの漂白剤を加えて洗濯すると、蛍光増白剤がダブルで投入することになり、意図せず蛍光増白剤が多すぎることになります。
蛍光増白剤に限らず、添加物は正しい知識と使いが大切だと思います。
資料参考
・日本石鹸洗剤工業会
・化成品工業協会蛍光染料委員会
・繊維製品消費科学会
(文/Takeshi Tsukiyama)
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