とあるお客様のご依頼で、臙脂(エンジ色)のコートを染め直せないだろうかと相談されました。お気に入りなのだけど、色目が少し派手に思えてきたそうで、出来れば黒に染め替えたい・・との事です。
私のお店では染め替えはしておりませんが、黒く染め直すのは心当たりがありました。
実は、私の嫁さんが独身の頃、京都の黒染谷さんに努めておりました。
そこの会社の先代さんはお亡くなりになったのですが、後を継がれた娘さんは視野の広い方で、黒染めの新しい活路をいろいろと模索されておられます。
下に続く
電車内や人混みなど
マスク着用を気にする場面など「エチケット用」として最適
呼吸がしやすく、蒸れないクールエアマスク「Be*AIR」


宅配・保管クリーニング(ラクリ)
その中に、洋服の染め替え・染め直しも御座いました。そこで私も勉強になりますので、早速コンタクトを取ってみました。運よく社長がご在宅で、電話ですがいろいろとお話を伺えました。
老舗の伝統技術での染め直しで、堅牢度にも自信があるそうです。また洋服でも綿は勿論のこと、ウールやシルク・レーヨンなどでも染められるとのことでした。
但し、リスクや留意することは多々あるようで、少なからずそれがトラブルにもなり得るため、お客様への確認と了解は必要だとおっしゃいました。それはクリーニングも同じなのですがね。
気になったので、その留意事項に関して踏み込んで伺いました。
ひとつはウール・シルクなどのデリケートな素材に水を使用するわけですから、縮みやシワの潜在化、そして染料も関与しますが風合いの劣化などある。
そして洋服の場合、様々な副素材が使用されており、例えばポリエステルの縫い糸は染まらず、元の色のまま残ります。ボタンホールに使われている、ポリエステル糸は元のままの色で残るわけです。ラペルなど、縫い目にステッチのデザインがあるものも然りで、その部分は染まりません。
なるほど確かに問題ですね。
しかし考えてみれば、ウール・シルクへの水の使用など、我々クリーニング業者から見ればウエットクリーニングでの経験がありますし、実際に緩和収縮した繊維を元に戻す技術もございます。しわ伸ばしもお手の物でしょう。潜在化したシワや、風合いの劣化・艶の退化など、アミノシリコンの使用で、いくらか回復も可能でしょう。
ポリエステルへの着色も、しみ抜きでの色かけや染色補正などでは、ポリエステル樹脂などの樹脂を使用して顔料で着色できます。少し手間で、また同じ黒は出せないでしょうが、それでも不自然さは大幅に解消されるでしょう。
今まで黒染め屋さんとお話したことが無かったので、この様なことは気が付きませんでした。黒染め屋さんも同じでしょうけど、いやクリーニングなんて見向きもしなかったのかもしれませんが・・・・・
この伝統技術とクリーニングの技術が融合すれば、もっと制度の高い「洋服の染め替え」が可能だと思います。
確立されれば、新たなビジネスチャンスが生まれると思いますし、消費者にとっても生活を豊かにする技術となるかもしれません。お気に入りを、気軽に染め変えられるって、楽しいと思いませんか。
今回の出来事で感じたのは、業界のコラボレーションが久しく言われますが、まだまだ開発する余地がゴロゴロあるように思います。
日々、アンテナを張っておかねば・・・
(文/Takeshi Tsukiyama)
TAKESHI TSUKIYAMAの最新記事
イドカバネットは
衣類やお洗濯・お掃除など日常生活にまつわる情報を毎日お届けしています
気に入ったらFACEBOOKやTwitterから更新情報を入手してね