長年クリーニング業に従事しておりますが、未だに衣類の染料が流れ出すことが突発的にあり、これが他の衣類などを汚染すると所謂「色移り」事故となります。
この様な色移りに関しては、プロであろうが一般の洗濯であろうが頭を悩ませることと存じますが、その原因となると様々な要因が御座います。
まず思い浮かべるのは、染色の際に繊維に余剰の染料が残っているケースです。通常は染色では、未染着の染料を洗い落とす工程があります。これをソーピンクと呼びます。
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その昔、友禅染では川で反物を流しながら、余剰の染料を洗い流しておりました。
川の流水ですので、無限に新たな水が反物を洗い流しますので、これは理想的なソーピング方法です。ソーピングには、良質な軟水が大量に必要ですが、現在の染料では水だけでは、未染着の染料は完全に落とせません。
ソーピング剤と温度と時間、そして染料を固着するフィクス処理が必要です。
このソーピングが不良な繊維が残念ながら存在し、それがソーピンク不良による色移り事故の要因となります。
この対処方法ですが、新品(色柄物)を購入後に洗剤を使用して一度洗ってみる事です。当然この状態で色が出るようなら、ソーピンク不良が疑われます。
ソーピンク不良も様々な状態があり、モノによっては一度洗うと未染着の染料がキレイに落ちるものがあります。ソーピング不良で色が出る場合は、未染着の染料が洗い落とされれば問題ないのですが、なかなか一筋縄でいかないモノも多く、何度も洗わなければならないモノもあります。
問題は色が出て、それが再び他の個所または衣類に着いて、色移りしてしまった場合です。この場合は、乾かないうちに再び洗いなおします。
その際に、洗剤の量を倍以上入れて洗います。コンパクト洗剤の場合は、3~5倍ほどの量を入れて洗います。その際にアンモニア水を加えた方が、染料が流れやすいです。
ソーピンク不良の他にも、色移りする原因が存在しますが、一度での紹介には限界がありますので、もう一つのケースを取り上げます。
これは購入当初から、通常の洗濯で全く問題なかったものが、しばらくして、もしくは数年後、突然色移りを起こす、または変色してしまうケースです。
これは難しい言葉ですが、反応染料の加水分解と申します。
色鮮やかな染色には、多分にして反応染料が使われます。この反応染料は複数の物質が反応をして鮮やかな染色します。そして鮮やかでありながら、色もしっかりしていて色移りはしません。
しかし時間の経過や温度・湿度など様々な原因により、その化学反応が分解してしまい、色が流れ出すケースが存在します。
今まで何ともなかったのに、急に色移りすると「えーーっ、何々・・」って、なるのですけども、この様な事もあると認識してください。
反応染料の加水分解は、染色の経年劣化とも言えるので、なかなか対応する方法がありません。アドバイス出来なくて申し訳ありません。
他の衣類に色移りしたものに関しては、漂白剤等も有効なので、専門家に相談されて対処しましょう。
(文/Takeshi Tsukiyama)
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