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きれい
2017/09/27

自然素材を使った楽しくエコなリサイクル 〜藍染のおはなし②〜

イドカバネット
自然素材を使った、楽しくエコなリサイクル~藍染のおはなし~本日は2回目となります。

自然素材を使った、楽しくエコなリサイクル 〜藍染のおはなし①〜

前回、古くなった衣類のシミや汚れのカバーリメイクとしての「藍染め」の薬効成分について、また実際に、どんな繊維が藍染めで染めやすいのか?といったことをまとめました。

今回は、藍色が衣類に染まる過程について、実際の藍染風景を交えて進めていきますね。

インディゴの染色は、一般的には浸染法が適用されています。

方法は以下になりますが、ここでキーワードとなるのが、【酸化】と【還元】という言葉です。この両方の意味を確認しながら、藍染の工程を読んでいただくと、わかりやすいかと思いますので、是非照らし合わせながら読んでみてくださいね。


【酸化】
酸素を得る(酸素と化合する)こと。水素を失うこと。

【還元】
酸素を失うこと。水素を得る(水素と化合する)こと。


下に続く


 

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宅配・保管クリーニング(ラクリ)・株式会社ルビー
宅配・保管クリーニング(ラクリ)

 


 





藍染めの元である藍の葉は、藍師の手により、寝床に寝かされ、水やり切り返しを繰り返し、発酵して「スクモ」と呼ばれるものになります。

スクモは、大量の乾燥した葉を発酵分解することで、藍の成分を凝縮させたもので、保管可能になり、結果、年間通じていつでも藍染ができたり、また移動にも便利になったようです。また藍の成分が凝縮されたスクモを用いた発酵建ては、生の葉を用いて染める生葉染めに比べ、布や糸をより濃く鮮やかに染め、しかも堅牢(色落ちを少なくする)にすることが出来るのだとか。

実は、藍という植物は、他の草木染めとは異なり、藍の葉にもともと住み着いている菌を使い、発酵させる藍建てという作業を行います。この藍建てという作業は、木灰からとったアルカリの液を使い、菌の活動を助けるために日本酒やフスマを加え、最適な温度を保つことで、発酵が進み、初めて染液が出来るというもので、化学薬品等を一切使わないこの技法は、「天然灰汁発酵建て」と呼ばれています。

天然灰汁発酵建てで得られた染液の中では、藍の色の成分は、アルカリ状態でまだ青くはありません。その染液に浸けられた糸や布が、空気に触れることで【酸化】反応が起き、藍の成分が繊維としっかり固着し、そこで初めて、あの鮮やかな藍色を発色します。

具体的には、スクモの状態では、藍色の成分であるインディゴは、水に溶けない顔料の状態で、このままでは布にしみこまないため、染色もできません。このスクモに樫の木などからとったアルカリの高い灰汁を加え、スクモに住み着いている還元菌のえさとなる、お酒やフスマを加えて加温します(25度から30度に保温しながら、2~4日発酵)。

このとき、不溶性のインディゴは、還元菌によって、水溶性のロイコ体インディゴ(【還元】型のインディゴ)に変化していきます。発酵が進むにつれ、石灰やフスマを適宜施し、良好な発酵状態を維持しながら灰汁で嵩上げし初めて布を染めることが、できる染液となります。
 こうして出来た染液の中では、ロイコ体インディゴ(還元型インディゴ)が水に溶けた状態となっていますが、この染液を瓶の中で掻き混ぜると、空気に触れた泡が鮮やかな藍色になって現れることになります。

つまり、インディゴを還元溶解したものを水で薄めて、適当なインディゴ濃度の染色液を作成。この液の中へ糸を浸漬し、還元液を吸収させた後、絞って空気で酸化させ固着させる。このサイクルを何回か繰り返し、目的の色を出す、という流れなんですね。


実際の藍染体験の様子をまとめました。





キッズも頑張ってますね^^





衣類はもちろん、靴も素敵に染まりましたね。



私が運営している「つるやクリーニング」では、自社単独で、2014年からお客様が着なくなった衣類の回収も始めています。現在は衣類を買取という形でお受けし、リユース(再利用)に回したり、リサイクル(再活用)に活かしたりといった、循環サイクルを作っています。

その中の、リサイクル(再活用)といった形で何かできないだろうか?と考えていたときに、「藍染する洋服を探している」というお話を“I Have 藍”藍染め交流会を主宰する西原慶さんから伺い、つるやクリーニングからお渡しした衣類(Tシャツ)を染めていただくことになりました。

「一番の理由は、自分がやってみて楽しかったから」で、「裁縫をろくにできない不器用な自分でも手軽にできて、しかもかっこよく染まることに感動しました。老若男女問わず一緒に楽しめるのも藍染の魅力です。藍染を通し、みんながワイワイ楽しめる場を作りたいと思いました。」という想いが、活動の原点となっているそうです。


先日実際に、この藍染体験会に参加し、藍染をしてきました。


↑この日仕上がった藍染衣類たち。緑に映えます。

思ったより早く染まることに驚きましたが、乾燥時間を含むと一枚2時間くらいでしょうか?午後に染め始めたものは乾燥しきれなかったので、弊社工場で再び干すことにしました。


↑夕陽にも映える、藍染。

初心者なので漬け込むくらいで一日終わってしまいましたが、濃淡をつけたり、柄など意図したものに近い形が再現できるようになってくると、面白くなるかもしれません。

お土産に、以前渡して藍染をお願いしていたTシャツを返してもらいました。
こちらは綿100%なので、藍染には一番適した素材なんですね。



元々は純粋な白色だったのですが、
藍染めすることによって、まばらな染め感が、刺繍の鳥を空に舞う鳥に変えるような、ロックでダイナミックな雰囲気になりましたね★


こちらは、後ろ側。元々の色(赤や緑)も、藍色に染まるわけではないのが不思議ですね。

実際自分で体験してみましたが、こういう水彩画のような模様を出すにはテクニックが要りそうです。アートの世界と同じで、「思い切り」と「センス」があるといいかもしれませんね。(私、学生のとき美術部だったのになぁ。。。数稽古ってことですね)

*藍染めグループ“I Have 藍”藍染め交流会に興味・参加したい方は、下記から交流することが可能です。
“I Have 藍”藍染め交流会Facebookページ


西原さんには、「藍は地球の色。年齢や国籍を問わず、一緒になって自由なモノづくりができる場を作っていきたいです。」という想いがあるとのこと。つるやクリーニングでは、お引き取りしたリサイクル衣類の中で、藍染に適した衣類をこちらの会に協賛の形でご提供していく予定です。今後もグループ活動に必要なときには、つるやクリーニングからの衣類が藍染を通して、どこかに旅していくことになるかもしれません。

そんなとき、少し時期が先になるかもしれませんが、また藍染のおはなしが書けたらと思います。

それでは、また☆









この記事を書いた人
榎本香代子
つるやクリーニング(清香株式会社)


さいたま市で80年以上続く、つるやクリーニングの四代目跡取り。通常の一般衣類クリーニングと並行して、衣類のリサイクルにも取り組んでいます(衣類買取・リユース・リサイクル・リメイク)。地域の中にある、衣類の洗いから循環までのニーズを受け止め活かす方法を、模索しています。


 






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