古代の洗濯事情
石鹸の起源について、紀元前4千年にはすでに石鹸が製造されていたようです。
何しろメソポタミアで発掘された粘土板に、楔文字でその製造方法を記載されていたそうなので、信憑性は高いのだと思います。
そもそも石鹸と言うのは、脂肪酸がアルカリによりケン化反応して親水性がくっ付いたものです。ローマ時代に、羊を生贄として焼いていたところ、羊の油が溶け落ちて灰に混ざったそうです。羊の油の脂肪酸と灰のアルカリが混ざり、それが川の水に混ざり泡立ったそうです。それが石鹸の起源の様です。
しかし、当時はまだ石鹸を薬用として使っていたようで、実際の洗濯には灰を水に入れて灰汁を作り、それを洗濯に使用していた記録があります。
灰汁の成分は、炭酸カルシウムなのでアルカリです。たんぱく質や油脂などは、アルカリに溶けるので、灰汁で洗濯することは理にかなっています。日本でも絹の精錬に、灰汁を使用していました。これは絹のセリシンと言うたんぱく質を洗い落としていたのです。
紀元前千年ほどになると、石灰がアルカリとして使われたようです。
アルカリと言えばアンモニアもそうですね。実はアンモニアも洗濯に使われていました。アンモニアと言えば、そう「おしっこ」です。信じられないようですが、これは本当の話で、おしっこをあえて腐らせて、アンモニアを発生させて洗濯に使いました。
何故、このような必要性があったのでしょうか。
毛織物などの繊維はアルカリに弱く、石鹸や灰汁・石灰のようなアルカリの強いものだと、毛や絹などのたんぱく質繊維に向かなかったのです。
ですから、毛織物の洗濯にはアンモニアが用いられたのでした。
昔の人の知恵ってすごいですね。化学的な認識がどれほどあったのか伺えませんが、経験値と応用力で洗濯の歴史を刻んだのだと思います。
(文/Takeshi Tsukiyama)
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