洗濯のケアラベル(洗濯表示)が変わったことは、皆さんご存じたと思います。この12月より、洗濯の取り扱い表示記号が変更されました。しかし、それが実際にどのような変化があるのか、それはまだまだご理解されにくいと思います。
そのすべてを紹介することは膨大な資料と時間が必要で、簡単に説明するのは大変難しいことです。ここで取り上げる話は、新ケアラベルに関してのほんの一端の話ですが、この様な変化もあるとご理解いくだされば幸いです。
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宅配・保管クリーニング(ラクリ)
私も現役でクリーニング店を営んでおりまして、お客様とのやり取りでのお話です。
そのお客様は、レーヨンニットのカットソーのクリーニングをご依頼されました。
大変おしゃれな品物で、ピンク系の柄物でドレープのデザイン、また袖にはフリルがありました。そのカットソーは趣味のダンスで着用されるそうで、今まではご自分で手洗いをされていたそうです。
しかしドレープではアイロン掛けが難しく、どうしても全体に小じわが発生してしまい、また何度も洗っているうちに徐々に形が崩れてきたそうです。
このカットソーの洗濯絵表示は、旧のケアラベルで水洗いできない表示があり、そしてドライクリーニングのマークがありました。
従って、本来はドライクリーニングを指定されているのですが、お客様としてはダンスで汗をかいた衣類は、水洗いでスッキリと洗いたい思いもあり、ご自分で手洗いされていたようです。
実際問題としてレーヨンニットが、水洗いできないかと言えば、それは正しくありません。但し、洗濯機でガンガン洗えるものでもありません。
このお客様のように手洗いで洗った場合でも、そのリスクとして色泣きと縮みがあります。レーヨンの染料は水溶性なので、水洗いで色柄から染料が出てくるリスクがあります。これは洗剤の種類やアルカリや温度の影響が影響します。今回このカットソーの場合そこはクリアーできたようです。
問題は縮みですが、レーヨンの場合は水に濡れると、繊維内に水分をため込んで膨張します。ニット(編み物)だけではなく織物の場合も然りですが、繊維が膨張してレーヨン糸一つ一つが膨れ上がると、生地の密度が増して一端は縮んでしまいます。
しかし乾くと繊維の水分も抜けて、レーヨン糸も元に戻ります。ところが生地としては一度形が崩れているので、それが全体の型崩や無数の小じわの発生の原因になるのです。
従ってレーヨンニットを洗う場合は、確かに水を使わないドライクリーニングが適当と言えます。しかし使用用途によっては、水洗いしたい思いも理解できます。
問題はレーヨンニットを水洗いする場合のリスクを理解し、型崩れや小じわを修正できる設備とテクニックがあるか否かです。
家庭では、ドレープ部分の小じわを伸ばせる事は難しく、市販のスチームアイロンではまずは出来ないでしょう。ところが、基本的にプロのクリーニングであれば、それらは容易にクリアーできるはずです。
旧のケアラベルでは、何故このカットソーに水洗いできないマークを付けたのか、それは水洗いできるイコール、家庭洗濯できるとの意味だったからです。
新しいケアラベルでは、この辺りを大きく変更されました。このカットソーを、新たなケアラベルで表示したなら、この様な表示になると思います。
違いをご理解言たたけるでしょうか。
〇にPはドライクリーニング可のマークです。
水洗い×は、今までと一緒のマークですが、これは旧ケアラベルと意味が違います。これはあくまで家庭洗濯ができない意味のマークです。
新たに加わった〇にWのマークですが、これがウエットクリーニング可のマークで、クリーニング店による高度な水洗いが出来るとの意味です。
新たなケアラベルでは、家庭での洗濯とプロの水洗いをしっかりと定義づけています。
ウエットクリーニングと水洗いの違いは、なかなかご理解されにくいとは思いますが、実際にこの様な事例も御座います。
ウエットクリーニングに関しては、実は三種類に分かれており、まだまだ奥深いのですが、その辺りはまたの機会でご紹介いたします。
(文/Takeshi Tsukiyama)
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