私が講師を務める大阪クリーニング専門学院では、四月初旬に入学式があり、それぞれの授業が始まります。
来月早々には、私の授業を務める洗浄理論と実践も始まります。
そこで私は、この時期になると、授業のおさらいと資料などをまとめるのです。
今年は2年ぶりにランドリーの授業を受け持ったのですが、資料をまとめているとあることに気が付きました。
下に続く
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宅配・保管クリーニング(ラクリ)
洗濯洗剤には、多く場合キレート剤を使用しております。
キレート剤とは、金属封鎖作用をもって、水の中や汚れの中に含まれた、カルシウムやマグネシウム・鉄などの金属イオンを封鎖する働きを持ちます。
洗剤が汚れを落とすための主成分である界面活性剤は、衣類の汚れを取り込んで、繊維から放して水の中に分散します。
更に界面活性剤は、汚れの周りにマイナスイオンの層を作ります。すると、汚れと汚れはマイナスのイオンで弾きあい、水の中で小さな粒子になり安定します。
しかし、カルシウムやマグネシウムなどのプラスの金属イオンが関与すると、界面活性剤のマイナスイオンを中和してしまいます。こうなると汚れ同士や、汚れと繊維が引っ付いて悪さをします。更にマイナスイオンが界面活性剤に引っ付くと、界面活性剤がその働きを無くしてしまいます。
ですからキレート剤は、洗剤において重要な成分なのです。
但し、このキレート剤の成分は、以前より何かと問題になってきました。特に環境問題に関して、富栄養化による水質汚染に関与する成分がありました。
有名なのは、リン酸系のトリポリリン酸塩です。それに対処するために、ゼオライトが使用されましたが、やはりトリポリリン酸塩の方が、キレート効果が高かったことは否めません。またゼオライトは、水に対して不溶性のイオン交換剤なので、粉末洗剤にのみしか使用できません。
他のアルカリ剤も金属封鎖作用があるのですが、キレート剤としては一長一短ありました。
そこで強力なイオン交換作用のある、エデト酸塩が注目しました。エデト酸塩は、EDTAと表記されている場合もありますが、以前より浴用石鹸など広く使用されていました。
話を学院の授業に戻します。
2年前のランドリーの授業では、私は「洗濯洗剤も、エデト酸塩が使われて行くだろうと・・・」解説しておりました。
つまり脱リン酸系がすすみ含窒素系が主流になるだろう。その代表的なものがエデト酸塩です。と、教えてきたのですが・・・
結局、主要洗剤メーカーはエデト酸を使用しなくなっておりました。なんと、たった2年の間に、前回の授業内容から変更を余儀なくされました。
もともとエデト酸塩は、微生物に分解されにくく環境面で問題がありました。更にエデト酸塩が自然界に放出されると、水生生物の必須微量元素の金属類と結びつき、生物がそれらのミネラル分を使用できなくなります。
これらからヨーロッパやアメリカでは、エデト酸塩に対しての規制がありました。
この影響だと思いますが、外資系を親会社に持つ洗剤メーカーは、DTPMPと呼ばれるホスホン酸化合物を使用しておりますし、他のメーカーもエチドロン酸などに切り替える動きがあります。
まぁ、しかし2年前のランドリーの授業を受けた生徒たちには、今更訂正する手盾はありません。授業に予測を入れてしまって申し訳ありませんでしたが、今後とも最新の情報を発信することで、誤りを挽回していきたいと思います。
洗濯洗剤なんて、なんでも同じようなもの・・・と、思われている方も多いようですが、我々の気が付かないところで、よりよい製品になるために切磋琢磨されておられます。
洗濯洗剤の進化に遅れないように、しっかりと勉強しなおして、講師として授業に臨みたいと思います。
(文/Takeshi Tsukiyama)
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