そろそろ衣替えの季節ですね。この入れ替えの時期に、仕舞っていた衣類を出してみると、なんと・・変色していた、、、なんてトラブルに見舞われたことはございませんか。
この様な変色のトラブルは、実は結構多いのです。
その中でも、保存における衣類の変色事故に関しては、保存前の衣類の状態や、保存状況や周辺の環境など様々な要因があり、個々の事例で原因が違ってきます。従ってなかなか原因を特定するのは難しいです。
今回は、その変色の原因を、個々の要因ごとに検証してみましょう。
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酸が関与する変色
衣類の染色で、酸変色を起こす染料が結構あります。酸が関与する変色の、代表的な原因として窒素酸化物が関与する変退色があげられます。
窒素酸化物は、水分と関わると亜硝酸や硝酸を発生し変退色が発生します。
問題は、この窒素酸化物なのですが、意外な場所に日常的に発生します。石油類を燃焼させた際に発生するのですが、それなら石油やガスの暖房器具を使用していなければ、発生することがないように思われます。
しかし給湯器や湯沸かし器はどうでしょう。自宅に無くとも、隣の建物に外付けされた給湯器が、自宅の窓と隣接していたらどうでしょう。また、例えばマンションの一階に商店等があり、業務用の給湯器・卓上ボイラーなどを使用しているケースや、駐車場の自動車の排気ガスなどが、もしかして関与していることもあります。
窒素酸化物の発生は様々です。また、無色透明です。何等かの発生源があるならば、いずれかの経路でクローゼットに、ガスが滞留する環境になることを否定できないと思います。
この他にも酸性が関与する変色の原因として、カビや酸性雨も珍しくありません。
衣類が雨に濡れると、やがて水分が蒸発していきます。衣類が乾いて一見何でもないように思われますが、これが酸性雨だと、酸性の成分だけが残留するために、最後まで濡れている個所に、酸性物質が濃縮されます。これがトラブルの原因になりえます。
雨にひどく濡れた場合は、乾かすだけでの長期保存は禁物です。
またカビが原因の変退色もあります。カビが成長すると有機酸を発生する個体が存在し、それが繊維内で成長すると変色のトラブルになりえます。
更にもう一つ、最近はめっきり減ったように思うのですが、酸化防止剤の過剰な還元反応により、衣類が変色するBHT変色があります。
BHTは幅広く使われている酸化防止剤で、衣類に使われているものだけではなく、クローゼットの材料や、包装材・ハンガー、また香水や化粧品などにも使用されております。
従って、ここで掘り下げて説明するより、今後一つのテーマとして取り上げたいと思います。
これらの酸が関与する変色についての予防策ですが、どのケースも長期間の放置により、湿度や換気の管理がおろそかになるとリスクが高まります。定期的な虫干しや、濡れたものや湿度の高い衣類はしっかりと乾かして、必要であればクリーニングを施してしまうようにしましょう。
光による変色・退色
もう一つ取り上げたい変退色の要因として、光による変色・退色があります。
例えば、赤いシャツを着た人がいるとします。人は、このシャツを、どのようにして赤いと感じるのでしようか。
光の中でも可視光線と呼ばれる、人の目が反応できる光があります。可視光線の中でも、赤い光をシャツが反射してそれが目に入るからです。
可視光線の色は、要するに虹の色です。7色にたとえられますが、それら全てが反射すると白です。色の濃いものは、特定の可視光線の色を吸収して、反射された可視光線の色が目に入ると、人はそれをその物の色と認識します。
衣類に置き換えて説明しますと、赤いシャツの染料は、赤い可視光線を反射しますが、絶えず赤以外の光は吸収していることなります。
つまり衣類の染料は、絶えず特定の光を収集してエネルギーを受けていることになります。更にエネルギーの高い光が当たると、染料が高いエネルギーを持つことになります。
もし、この状態で気温や汗また酸化反応などの影響があると、染料は励起状態になり不安定な状態になります。このような状態で長期間放置されると、エネルギーを持った染料が分解して変退色を引き起こしかねません。
特に波長の短い光線は、振動数が多くエネルギーが大きいので、可視光線より紫外線の方がよりエネルギーが高く、蛍光灯などの光は変退色を生じやすいです。またエネルギーの高い紫外線があたる面は、空気中の酸素がラジカルになり、表面に酸化反応起こす事例もあります。
いずれにしても、日の当たるところや蛍光灯の下に、衣類を置きっぱなし・かけっぱなしは止めましょう。
今回は変退色に関して、外的な要因を紹介しましたが、実際には染料の種類や、その染色の堅牢度などが大きくかかわります。
今後は順次、それらも紹介していきたいと思います。
(文/Takeshi Tsukiyama)
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