新しく発売された第3の洗剤「ジェルボール」がよく汚れが落ちると主婦の意見を拝聴。
本当に汚れ落ちが良いのか?調味料やカレー・泥汚れなどを付着させ、洗濯試験を行ってみた。
前回の記事はこちら
粉末液体に続く第3の洗剤「ジェルボール」の洗浄力に迫る(1)
下に続く
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洗濯機:縦型洗濯機 HITACHI 白い約束 7kgタイプ NW−7SY
水温:21.5℃
被洗物:汚染布のほかに一般衣類をまぜて洗浄(3回のテストとも被洗物は同じ物を投入)
プログラム:水量57リットル・洗い9分・すすぎ2回・脱水6分で統一
そして以下の一点だけ、一般家庭とは条件が異なると思われます。
洗濯およびすすぎ水:硬度分が限りなくゼロに近い超軟水(三浦工業・軟太郎)を使用しています。
一晩乾かした汚染布や泥汚れの靴下など
靴下以外の汚染布は、3回のテストとも同じタオル・同じ場所に縫い付けて洗いました。
テスト1:液体洗剤=詰め替え用のストックが我が家には10個以上ある一番の愛用品。
濃縮界面活性剤タイプで、わずかな量でも十分な洗浄力を発揮している。
テスト2:粉末洗剤=通販番組で人気の洗剤。先日展示会にてサンプルをいただきました。
標準使用量は、60リットルで30gと少量。エコ洗剤の位置づけで販売されている。
テスト3:ジェルボール(アリエールパワージェルボール)=今回、洗浄力の高さの噂を聞き、はじめて購入。
食べ物のシミ(コーヒー・カレー・ミートソース・赤ワイン)・泥汚れなどに自信ありの様子。汚れ落ちは期待できるか?
標準使用量は、30−60リットルでジェル一粒。
特殊フィルムが洗濯槽の底で溶け落ち、濃縮洗剤が洗濯槽内に広がっていく。
汚染布を縫い付けて、洗濯しては汚染布を取りはずし
また縫い付け洗濯。それを3つの洗剤でそれぞれ繰り返した。
さあ、テスト結果はいかに!
汚染布1(ごま油・ソース・ケチャップの汚れ=綿100%白布)
写真では分かりにくいが、液体洗剤・粉末洗剤・ジェルボールどれも、ごま油の部分の布地に「油跡」がうっすらと残っている。
ソース・ケチャップの汚れは、綺麗に取り除けているものの、よく見ると液体洗剤にソースの跡が若干残っている気がする。
汚染布2(ぞうきん墨汁)
写真はテスト1・テスト3・テスト2の並び順です。ごめんなさい。
もちろん当然ですが、墨汁はお洗濯ではまったく落ちません。気をつけましょう!
汚染布3(ごま油・ソース・ケチャップにマヨネーズを加え、油から卵まであらゆる汚れをまぜた頑固なシミを再現)
マヨネーズには油と酢と卵が溶け合わされており汚れのワンダーランド。
それにソースやケチャップ・ごま油が混ぜられて、人工的に作られた頑固な汚れだが、どの洗剤とも家庭で使われることを想定されたものだけに、こういった調味料系汚れにはめっぽう強い。
写真では比較しにくいが、一番汚れが取れているのはテスト1の液体洗剤。
全体的に、どの調味料の色も薄くなっているように見てとれるが、粉末洗剤は茶色が強く残り、ジェルボールは黄色が強く残る。どの汚れかは判別できないが、各洗剤ともにある特定の汚れに対しては強く反応して落ち、苦手な分野が残った感じだ。
汚染布4(カレー)
ここでも洗い上がりの差が顕著に現れ、洗っても落ちないシミの現れ方に変化が見られた。
液体洗剤は中心部に茶色味が多く残るも、汚れの外側はよく落ちている。
粉末洗剤は全体的に色が一番薄くなっている。
ジェルボールは汚染布3と同様に黄色が強く残る。
靴下(土と砂を1:1にまぜたもの)
最後に泥をこすり合わせた靴下の洗浄。
左から新品・テスト1・テスト2・テスト3の順
「泥汚れは粉末洗剤の方がよく落ちる」は、我々洗濯業界の常識であり、このテスト結果はかなり妥当なものだと言えそうだ。
粉末洗剤と比較し、液体洗剤の弱点だった泥汚れの落ち方を強化・補ったのがジェルボールといった感じか。泥汚れには粉末洗剤並みの洗浄力を得ることができ、製品パッケージに書かれた「靴下の泥汚れ」への強さを十分示したと言えそうだ。
今回のテストは「泥汚れの落ち方」を調べることをきっかけに、いろいろな汚れも合わせてテストした。
その点で言えば、ジェルボールの泥汚れ落ちは、粉末洗剤並みの汚れ落ちを実現したことで大いに評価できるであろう。汚れ落ちの凄さを筆者に伝えた女性のコメント通りの結果を得ることができた。
もう一つ、汚れの落ち方の違いとして顕著に現れたのが、調味料やカレーなど、いろいろな汚れや色素が含まれた汚れ。食べこぼしを想定して作ったシミであるが、洗剤成分の違いで洗い上がりに差が出たのはとても興味深い。
泥汚れは粉末洗剤・皮脂汚れは液体洗剤
今回、泥汚れの落ち方だけを見ると液体洗剤の洗浄力が弱い印象を与えてしまいそうな結果になっているが、実際はそうではない。一般的には泥汚れには、液体洗剤より粉末洗剤の方がよく汚れが落ちるのは定説であり、反対に、シャツの襟まわりや袖口など、皮脂の汚れには液体洗剤の方がめっぽうよく落ちる。
これは、それぞれの洗剤内の主成分であるアルカリ剤や界面活性剤の含有量(率)の違いによるものだ。
そして、皮脂の汚れの主成分は古い角質から出たタンパク質であり、また、汚染布3のマヨネーズにもたんぱく質が含まれており、液体洗剤が汚染布3のタンパク質を効果的に分解した結果も感じ取れた。液体洗剤の原液を直接散布するよくある洗濯テクニックを実践すれば、より汚れが落ちるに違いない。
また、汚染布4のカレーの汚れについては、粉末洗剤の洗浄力が際立った感があり、また、ジェルボールには黄色の色素を取り除く力が弱かった。
このように、3種類の洗剤を用いて洗浄テストを行ったわけだが、「一概にどれが良いとは評価できない…」という、おおよそ予想通りの結果を得ることができたが、ここで間違いなく言えるのは
「各種洗剤の長所短所を良く知り、毎日のお洗濯時に使い分けを行うと良い」のは間違いなさそうだ。
しかし、汚れに合わせて何度も洗濯機を動かすわけにはいかないので、被洗物の総量に対して相対的に・・・「皮脂汚れが多い場合は液体洗剤」を、「泥汚れが多い場合は粉末洗剤やジェルボール」をなど、使い分けをすると良いだろう。
また、ジェルボールは洗濯物の量に合わせて細かな洗剤量の調整ができないため、少量洗いではもったいない。その点はデメリットかもしれないが、洗濯槽やドラムの中にポンと入れるだけの使い勝手はとても良かった。
汚染布1(ごま油・ソース・ケチャップ)
液体洗剤○
粉末洗剤○
ジェルボール○
汚染布2(墨汁)
液体洗剤×
粉末洗剤×
ジェルボール×
汚染布3(ごま油・ソース・ケチャップ・マヨネーズ混合)
液体洗剤○
粉末洗剤△
ジェルボール△
汚染布4(カレー)
液体洗剤△
粉末洗剤○
ジェルボール△
靴下(泥汚れ)
液体洗剤△
粉末洗剤○
ジェルボール○
「泥汚れが良く落ちる」主婦の素直な声からはじまった連休中の洗濯テストだが、その意見は正しかった。もしこのような洗濯テストが次回があるとすれば、シャツの皮脂汚れなど生活に密着した他の汚れもテストしてみたいと感じた。
(終わり)
![]() ゼンドラ株式会社・代表取締役 クリーニング・テキスタイルレンタル業界の専門新聞社。当サイト「イドカバネット」の運営を行ないながら、洗濯の楽しさ・クリーニングの素晴らしさを伝える。最近は、洗濯サービスと他業とのコラボレーションを研究し全国を奔走している。 オフィシャルサイト http://www.zendora.co.jp |
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