シミ・襟の黄変・脇の黄ばみ・食べ物のシミ等は、皮脂やたんぱく質など汚れによって引き起こされるわけですが、ほっておくと生地やついた汚れ自身が黄色く変色し、酷いものになるとやがて茶褐色になってきます。別に黄色い色がついたわけでもないのにいったい変色ってどういう事なのか、どうやって処理するのかをまず色の勉強からお付き合い頂きましょう。
光というのは波のようなもので長さによってさまざまな色に見えます。人間の目に見える波(光)を可視光線と言って短い方から紫⇒青⇒緑⇒黄⇒橙⇒赤とあり虹がこれを反映しています。これより短くても長くても人間には見えません。ちなみに紫より短い波を紫外線、赤より長い波を赤外線と言います。
あれ、よく七色の虹と言いますけど6色しかないですねぇ?実際は連続しているものを大別しただけで7色というのは日本だけなのです。
光の色は直接目の視神経に反応し脳が色を判断します。モニターに映った赤いトマトは赤色の光が直接目に入り、脳に赤色の信号をつたえます。脳はモニターに映ったトマトは赤いと判断します。
一方、物の色は光が物に当たり反射した光だけを脳が色として判断します。実物の赤いトマトは緑と青の光を吸収し赤の光だけを反射するので脳は赤いと判断します。
光の中ですべての色を表せる色を赤(R)・緑(G)・青(B)と言います。何故三色なのかと言うと人間の目の神経は赤(R)と緑(G)と青(B)の光(波)にしか反応しないからです。この3種類の光(波)の強弱によって脳が色を判断するのです。
光の三原色図
自然界の光は太陽の光がすべてと言っても過言ではないでしょう。太陽の光が無ければ日食のときのように夜と同じく闇の世界です。その太陽の光の中に様々な色の光があるわけですからそれぞれの色の光を重ねていけば夜(暗闇黒)から昼(元の太陽光の白)に近づいていきます。
光の足し算は黒から白へとなります。
光の三原色の解説
赤の光Rと緑の光Gを重ねると
人間の脳は光のスペクトルの赤の光Rと緑の光Gの中間の黄色Yと認識します。
緑の光Gと青の光Bを重ねると
人間の脳は光のスペクトルの緑の光Gと青の光Bの中間のシアン色Cと認識します。
赤の光Rと青の光Bを重ねると
人間の脳は実際には存在しない光の色のマゼンタ色Mと認識するのです。
実はここがややこしくて
スペクトルを環状に考え赤の光Rと青の光Bをつなげた時の中間色と考えます。
(光のスペクトルの赤の光Rと青の光Bの中間の緑の光Gとはなりません。)
マゼンタ色は見えるのに自然界に存在しないなんて不思議ですね。
少し頭が混乱してきましたか?ちょっとコーヒーブレイクにしましょうか^^。
テレビやモニターのRGBというのはこの赤・緑・青の事でこの3つの光の集合体で映像をカラフルに再現しています。黒はRGBすべて無点灯でモニターの背景色を使います。夜の状態ですね。白は全て点灯で表現します。昼の状態ですね。
フルカラーやハイビジョンといった映像はこのRGBの集合体が多く(情報量が多く)より自然に近いクオリティーの高い映像なのです。
ここで注目してほしいのが黄色です。赤と緑を重ねると黄になってますね。これは目の神経は赤の光(波)と緑の光(波)をとらえると脳が黄色と判断するからです。黄にさらに青(実際は青紫)を重ねると脳は白と判断します。
黄色(赤の光+緑の光)に青の光を当てるという事は三原色全ての光を合わせるという事ですから太陽光と同じ白色になります。
黄色に青色の光を当てて白くする、これを応用したのが蛍光剤です。
真っ白のカッターシャツ太陽のもとでよく見ると何となく青っぽく見えませんか。
洗剤によく配合されている蛍光剤は太陽の光(紫外線)を受けると青紫色の光を発し、黄ばみの色と重なって白く見せてくれるのです。やっと黄ばみの話に近づいてきました。
--余談ですが--
日本人はメラミン色素が多く瞳が黒いので紫外線を吸収します。よって蛍光剤を使った少し青気味の色を白く感じるのです。欧米人の青い瞳はメラミン色素が少なく日本人ほど紫外線を吸収しないので蛍光剤と使った青気味の色はまぶしく感じます。同じ色でも日本人と欧米人では見え方が違います。
色の三原色
色の中で全ての色を再現できる色をシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロ(Y)と言います。
正確にはシアン・マゼンタ・イエロの色を反射する3種類の色での事で光が無ければいずれも見えません。
色の三原色図
色の三原色の解説(わかりやすいようにインクで表現します。)
シアンC色の絵具は
赤の光Rを吸収し緑Gと青Bの光を反射します。緑Gと青Bの光が重なってシアンC色に見えます。
マゼンタM色のインクは
緑の光Gを吸収し赤Rと青Bの光を反射します。赤Rと青Bの光が重なってマゼンタM色に見えます。
イエロY色のインクは
青の光Bを吸収し赤Rと緑Gの光を反射します。赤Rと緑Gの光が重なってイエロY色に見えます。
この3種類のインクを混ぜると赤の光Rも緑の光Gも青の光Bも吸収するインクとなりすべての色を反射しません。つまり黒に見えるわけです。
色(インク)の足し算は白から黒となります。
プリンターは基本的にシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロ(Y)と単体で黒(K)の4種類のインクで構成されています。
白はCMYK全て無使用で紙の背景色の白を使います。試しに色のついた紙で写真を印刷してみてください・・。黒は真っ黒にするためにはシアン・マゼンタ・イエロの全て色が多量に必要となり不経済なので単色の黒を使います。
はい、色のお勉強はここまでです。
ではなぜ黄ばむのか
汚れや皮脂はほっておくと空気中の酸素と反応してで酸化していきます。実はこの酸素は青色の波長を吸収します。(特に上空では紫外線のエネルギーが強いため酸素は紫外線を吸収して活性酸素のオゾンに変わりオゾン層を形成します。)上記の「色の三原色の説明」で述べましたように酸化した汚れは青色を吸収する物質と、変化し残りの赤と緑を反射するので黄色く見えます。
襟や脇に黄色い汚れが付いているのなら何らかの方法で物理的に取り去ることは出来るでしょうが、汚れを長期間そのままにしておくと大抵の場合、汚れの下では素材が変色して黄ばんでいます。こうなると黄ばみは素材自体の変色なので物理的に取り去ることは出来ません。
「色の三原色図」でもわかる様に青を重ねるとさらに黒っぽくなります。光のように重ねても白くならないので色修正で黄色を消すことは出来ません。ですから黄ばみが取りきれない場合は漂白という手段を用います。
漂白
漂白には酸化漂白と還元漂があります。
酸化漂白は紫外線や過酸化水素・塩素などで活性酸素を発生させ、汚れの成分を分解しすべての光が反射するようにします。つまり白く見える様にするけです。
活性酸素で分解するのは汚れの成分だけではありません。素材自体にもダメージを与えますからさじ加減が必要となってきます。
還元漂白は色のあるものから酸素を奪いすべての光を反射させるため、シミも生地も区別しません。ですからシミだけでなく生地の色まで抜けてしう事があります。
いずれの漂白剤も多かれ少なかれ生地にはダメージを与えますからしっかりと汚れを落とし漂白は最小限に抑えるべきです。
最近よく「家庭で出来る・・」でテレビや雑誌でシミの漂白の方法等をよく紹介してますが、家庭では塩素系は使わない方が良いです。「まぜるな」と書いているものです。塩素は漂白だけでなく繊維自体に反応し「クロル化」と言って繊維表面をガラスのように変化させてしまいます。
塩素はさじ加減が難しく失敗してからクリーニング屋さんに持ち込まれるトラブルが増えてますが、こうなるともうプロでも元に戻せません。しみ抜き代をケチって失敗するとかえって高くつきます。厄介そうなシミは無理せずプロに任せましょう。
(文/MAGI)
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