はじめまして、MAGIです。
男性も女性も、現代ではファッションには欠かせない「フレグランス(香り)」について。今日は、その歴史から紹介してみたいと思います。クリーニングの店頭で、気軽に香水を試香出来たら嬉しいですね!
香水の歴史は古代エジプトにまでさかのぼり、魔除けやミイラ作りの防腐剤といった宗教的役割や権力階級の道具に利用されました。
かの有名な世界の三大美人の一人クレオパトラは、美貌を武器に(と言っても当時の美貌が今日でいう美人かどうかはわかりませんが)香水で世の権力者シーザーやアントニウスを虜にし国を動かしていたとか。
古代では香りは女性が生き残るための魔性の武器だったんですね。
コインに描かれているクレオパトラ
そして時代が進み、18世紀マリーアントワネットの時代、ベルサイユ宮殿にはトイレなるものがなかったとか。
女性は庭先に用を足していたそうです。フランス人形の様な裾広がりのドレスが一般的だった理由がわかりますね。
当然、庭先には匂いが立ち込めるわけで、それを覆い被せるようにきつい香水が必須となったわけです。
庭先の汚物はそのまま放置されドレスの裾につかない様に、また踏まない様に常につま先歩きをしてました。そしてハイヒールが誕生したわけです。
ファッションアイテムの原点は臭いものだったんですね。
中世では香水はマスキング芳香剤として生活必需品でしたが、
当時の宮殿ではあらゆる匂いが混ざり合ってとてつもない異臭が漂っていたそうです。
宮中でのドレス姿
やがて近代に入ると、文化生活も進化安定し中世の様な不潔な環境はなくなりましたが、湿度の低いヨーロッパでは、あまりお風呂に入らないため体臭がきつく身だしなみとしてマスキング効果はやはり必須だったようです。
世の中が安定してくるにつれ、香水は生き残りの武器やマスキングといったなくてはならない役割を終え、治療・アロマといった癒し系の方向と感性・身だしなみという嗜好系、つまりファッションアイテムとしての方向性に分かれてきました。
女性が最も美しく華やぐ時代の到来ですね。
とりわけ19世紀、ココ・シャネルは、上流社会への反発からこれまでの裾の広りのドレスからタブーとされていたブラックドレス・パンツスタイル・ショルダーバッグなど、次々と世に送り出しファッション業界に新風を巻き起こしました。
ココ・シャネル
出典:NHKプレミアムアーカイブス 巨匠たちの青の時代「ココ・シャネル」
そしてココ・シャネルをもっとも有名にしたのはマリリンモンロー。
インタービュで「寝るときは何を身に着けてますか」と記者に質問されマリリンモンローは、「私はシャネルのNo.5よ。」と返答したと言う。
マリリンモンローにとって、ノーマ・ジーンの時代からシャネルNo.5は華やかな世界の象徴であったようです。
シャネルNo.5
メンズの香水の歴史はあまり資料がないのですが、歴代の香水好きといえばルイ14世とナポレオンがあげられます。
18世紀、ルイ14世が造った(本人が造ったのではない)ベルサイユ宮殿にトイレがなく庭先に放置された糞尿を香水でマスキングしていたことは有名ですが、ルイ14世が大変香水好きだったことが発展の由来になっているようです。
19世紀では、ナポレオンとジョセフィーヌ(ナポレオンの奥さん)ともにが香水好きで、ナポレオンは特に柑橘系のコロンを愛用し、一日に数本使ったという逸話があります。
気分転換にナポレオンとジョセフィーヌのお酒
ベルサイユのマリーアントワネットやナポレオンいずれも、ジャン・フランソワ・ウビガンによって創業された香水メーカー「ウビガン社」の香水を愛用していました。
この「ウビガン社」が「フゼア・ロワイアル」という香水をリリースしたのが、メンズの香水の普及のきっかけとなります。
フゼアとは植物のシダのことですが、シダに香りはありません。もし、シダが香るならこんな香りだろうとイメージした香りです。
「フゼア・ロワイアル」に配合されていたのが開発されたばかりの「クマリン」という合成香料で、日本の桜餅の香り成分と同じになります。
特に英国では、当時貴族や富裕層で観葉シダのブームで、このクマリンを配合した「フゼア・ロワイアル」は、メンズスーツ特にダーク色に大変よくあう香りとして大好評となりました。
「フゼア・ロワイアル」はメンズ・フレグランスの代名詞と言っても過言ではないでしょう。
フローラル
「花」の香り。香水の半数以上がフローラルに属し、さまざまなバリエーションをもつ。
オリエンタル
香油、樹脂、スパイスなどが配合され、東洋をイメージさせる神秘的で重厚な香り。
シトラス
柑橘系の香り。フレッシュで、すがすがしさを感じさせる。
ウッディ
木から抽出した香り。白檀などおだやかで深みがあるのが特徴。
フゼア
「ラベンダー」「オークモス」「クマリン」をベースとし、エネルギッシュで清涼感のある香り。
フルーティ
フルーツの香り。みずみずしい香りや、甘みのある香りのタイプがある。
シプレ
シトラスの爽やかな香りに、木の温もりや、煙ったような香りを加えた香り。格調高い印象。
ムスク
ジャコウジカの分泌物の香りがベース。官能的で動物的な香り
日本であまりフレグランスが普及しない要因は、おそらく清潔感が強くお風呂好きなことがあげられます。
日本は湿度が高く、カビの繁殖や不衛生になりやすいので、お風呂に入ることが日常です。
そのため清潔意識が高く、においには敏感で無臭を好みます。また弥生人系の日本人は脇臭が少ないとか。
だが昨今、男性化粧品が普及しだしたことで、男性も身だしなみに香りをプラスする価値を見出してきたように思います。
基本的には無臭を好む日本人ですが、嫌味のない微香のフレグランスを嗜むことで保守的な日本男子もお洒落意識を高めることが出来るのではないでしょうか。
自らコーディネートした服装に自ら選んだ香りを含ませ街を歩いてみませんか。
自分の世界観が新しくなりますよ。
香りはパンフレットではイメージしか伝わりません。
取扱店も敷居が高く客層を制限していますが、気軽に香水を試香出来るインフラ整備が整えば、もっとメンズお洒落人口が増えるものと期待します。
全国のクリーニング屋さん、そんなインフラ整備の場に手を挙げてみてはいかがでしょうか。
今回紹介する逸品は、英国王室御用達のペンハリガンのメンズ・フレグランス「SARTORIAL」(サルトリアル)です。
背広の語源と言われた、英国サビル・ロウストリートにあるビスポークテーラーの裁断バサミやミシンなどの伝統的なアトリエの香りをヒントにインスパイア。
クラシックなフゼアの香りを現代によみがえらせてます。
(文/MAGI)
イドカバネットは
衣類やお洗濯・お掃除など日常生活にまつわる情報を毎日お届けしています
気に入ったらFACEBOOKやTwitterから更新情報を入手してね