前回は『製品洗い』についてお話しさせていただきました。
縫いあがった新品の洋服を、一度洗って売りに出す製品洗いについて
http://www.idokaba.net/article/2015/11/28/526製品洗いをする商品は素材により異なりますが、そもそもなぜ生地は縮むのでしょうか?
今回は特に注意すべき素材のひとつ、綿についてご説明します。
まず、綿(コットン)が糸になるまでには、原綿(コットンボール)※1 を繊維が揃う状態になるまで引き揃え、
そこから糸になるよう紡いでいきます。
解説※1 コットンボールについてはこちら
とてもかわいい綿/コットン・私たちに身近な繊維のおはなし
http://www.idokaba.net/article/2015/02/04/137この紡ぐ工程の際に繊維を引っ張りながら撚りをかけていきます。
引っ張られた繊維は元に戻ろうとする力が働き、これが縮みの原因のひとつとなります。
また生地を作る上でも機械で編んだり織ったりする際に、糸にテンションがかかったり、作られた生地を反物にする上でもテンションがかかります。
そうしたことからアパレル工場では製品を作る過程で、生地を放反(ほうたん)※2 して生地の縮みやゆがみを軽減させる工程を踏んでいます。
解説※2 機械で巻かれている反物はテンションがかかっているため、(一つの反物でだいたい50〜60mくらい巻かれています。)生地の緊張状態を元に戻すために裁断する前に生地を広げて1〜2日寝かせます。これを放反といいます。
そうすることで、作る製品にゆがみやムラがなく、均一に仕上げることが出来ます。
ただ、こうした工程を踏まえても完全に縮まないというわけではありません。
また、繊維は水を含むと膨張します。
その状態で、乾燥機などで乾かすと膨張した繊維が急激に元に戻ろうとし、その結果、生地が縮むという現象が起こります。
なので、縮めたくない綿製品をご家庭で洗濯する際には、なるべく生地に負担をかけない洗い方で(手洗いなど)平干しして自然乾燥するのが良いと思います。
ジーンズなどで生デニムをジャストサイズより1〜2インチ大きいサイズを買って、自分の好みの洗い方でアタリを出しながら丁度良いサイズに縮ませる、という方もいらっしゃると思います。
これは綿の特性を生かした服の楽しみ方です。
それぞれの製品の特性を理解した上で、自分のスタイルに合った日々のメンテナンスをしていくのも、服の楽しみ方のひとつだと思います。
着る楽しみと育てる楽しみ。
洋服も生き物です。
出会った服たちひとつひとつに愛情を込めて、楽しく自分らしいファッションライフを過ごせたらと思います。
この記事を書いた人
ゆっきー(yukky)
レディスアパレルブランド「Sunnyard Butterfly(サニーヤード バタフライ)」のオーナー兼デザイナー。 メーカー(生産者)がクリーニング&メンテナンスも請け合う仕組みを作り、 より永く、より愛情を持って洋服と向き合うライフスタイルの提案を目指しています。
オフィシャルサイト http://sunnyardbutterfly.com |
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