衣料品のルーツにはすべて機能的要素があります。体にまとい体を保護することを目的とし、ファッショ衣料として進化してきました。
ところがネクタイに限っては別に身を守るでもなく寒さをしのぐわけでもなく、首を絞めて逆に衣料品の中で唯一凶器になりえる存在です。
そんなネクタイですが、どんなに安いネクタイでもでも色柄でも(冠婚葬祭を除けば)締めていれば公共の場への入場は許されドレスコードはクリアします。
ネクタイは身だしなみの証といったところでしょうか。
ネクタイはバイアスにカットされています。
裁断の際は生地に対して45度の角度で裁断します。この正確に45度の角度で裁断したものを「正バイアス」と言います。
丁寧に作られたネクタイは「正バイアス」にカットされ、結び目が美しくねじった時に生地に均一に力が働くので結んだ時にまっすぐに垂れ下がってくれます。
丁寧に作られたネクタイは「正バイアス」にカットされ、大剣を内側に折ると内側の三角部分にピタリとはまり綺麗な三角形ができます。
衣料品にはすべて体形に合わせてサイズというものがあります。
ネクタイは欧米では138~150㎝と様々なサイズがありますが、かつて日本では138㎝と決まっていますした。(最近では140㎝以上のものが登場しています)。
ネクタイの一番バランスの良い位置は大剣の先がベルト辺りに差し掛かる長さなのですが、138㎝だと胴長の日本人にとって(最近の若者はスタイルがいいですが)一番単純なシンプルノットという締め方でしか叶いません。
それは「正バイアス」にカットする際に一番効率よく生地が取れるのが138㎝だからなのです。
かつて着物文化だった日本人にとってネクタイは首を絞めつけるという苦痛のアイテムだったのでしょう。当初はスーツ必須のアイテムという事で、欧米の見様見真似で取り入れたセンスより生産効率を最優先した日本ならではの商業製品だったのですね。
ちょっと言い過ぎでしょうか^^
情報のインフラも整い日本人もようやく欧米人のファッションセンスに追い付いてきたようですね。
シンプルノット(プレーンノット)
もっともオーソドックスで小剣に一回巻きつけた単純な締め方です。結び目はダブルノットより細く長め円錐形になります。中~長身の男性によく似合います。
ダブルノット
小剣の周りを二重に巻きつける締め方。結び目が樽型になりどんなタイプのシャ
ツにも合います。(へたくそな締め方ですみません)
ウィンザノット
ウィンザ公が流行らせた典型的な英国調スタイルの締め方。結び目がふっくらいた大き目の逆三角形。ワイド襟のシャツに似合います。
各国の首脳会議などネクタイを見ていると、大概無地に小紋か水玉が多くストライプ柄はあまり見かけません。
ストライプといえばIVYによく見る紺ブレにレジメンタル・タイですが、レジメンタル・ストライプにはグローバル性がなく英国の州・群・大学・医学その他多くのグループ団体が独自のストライプをトレードマークとしています。
安易にストライプ柄を締めてイギリスに行くと、きっとどこかの団体と間違えられる可能性大です。
外務省洞爺湖サミットパンフレットより
もし各国首脳が締めてるストライプがたまたま英国のどこかのグループと一致したらそれは国挙げての大恥ですね。と言うことでストライプを締めるときはかなり神経を使っています。
ちなみに、左上から右下へのストライプが英国式スタイルで右上から左下へのストライプは米国スタイルになります。
ネクタイの素材はおおむねシルクですが、シルクは日光により変色しやすく撥水性もないためにシミになりやすいです。事前に撥水スプレーを吹きかけておくとシミになりにくくなります。
またクリーニングする事で光沢を失うことがありますので、こだわり・知識・センスの豊富なクリーニング店に出すことをお勧めします。
しまいこむときは吊るすより丸めて保管すると掛けじわや重力による型崩れを防ぐことが出来ます。
便利グッズも販売されています。
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/B001JLRK9I
ただドレスコードをクリアするだけでなく胸元のバランスの良いアクセントとして、またMr.ダンディーの身だしなみの証として、周りを意識させましょう。
ネクタイを締めることで「出来る男」「粋な男」etc、男の形容詞がバージョンアップし身も心もキリッと引き締まりますね。
ところでどんな色柄でも良いわけですが日本人は黄系は避けた方が良いでしょう。なぜかって、日本人肌は黄色が混じってますから黄色いネクタイでアクセントをつけると顔がボケてしまいがちです。
黄系のネクタイをするときはガッツリと日焼けするか、髭でアクセントを付けてみましょう。
参考資料 落合正勝 著 「男の服装術」
(文/MAGI)
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