まだまだ残暑が続く時期ですが、この時期にかかせないのが、扇子と団扇。
どちらも風をあおぐ便利な道具ですが、それぞれが違う意味を持つ場合もあるようです。使い方を含めてみてみましょう。
昔から使われてきた扇子は、実は日本人が考え出した便利グッズ。中国で発明された団扇が日本に伝わってきてから100年くらいの間に、折りたたんで携帯しても便利に使えるように団扇をもとにして作られたもの。中国で生まれたうちわが日本に伝わり、団扇をもとに作られた扇子が中国に輸出されていった。
中国で作られた団扇を元にして日本で作られたのが扇子で、扇子を元にした文化が日本で広まり、それがまた団扇が作られた中国に戻るというのは、面白い流れですね。
また、昔のヨーロッパの上級社会では“扇言葉”なるものも生まれました。
18世紀のフランス宮廷(『ベルサイユのバラ』の世界観ですね)で特に扇でのコミュニケーションが活発に行われていたようです。
右頬に触れる−はい
左頬に触れる−いいえ
大きく開く−待っていてください。
右手で顔の前に−ついて来てください。
出典:淑女と扇
フランスの自由な国民性が感じられますね。
日本にはあまり扇言葉は普及しなかった気がしますが、日本ならではの独自の文化として和歌を書いて贈ったり、花を乗せて贈ったりしたことが源氏物語に書かれていたそうで、フランスとはまた違った風情のある感じで扇子が使われてきたようです。
ちなみに扇子(せんす)というのは閉じている時の呼び方で、開いた時は“扇”(おうぎ)と呼ぶのが正式なようです。
今では100円ショップでも色々な種類の扇子を置いているので、デザイン重視のブランド物から安価なものまで、気軽に揃えることができますね^^
写真は以前、日本舞踊をしていた方に頂いた扇子(稽古用)で簡素な作りですが、舞台で使うものは扇子を投げたり、返したりするために、要の部分に鉛の重りが仕込まれているようです。
最近では企業の販促グッズとしての使用も多い団扇ですが、持ち運びができないことや、祭り・縁日での使用が多いことから、夏限定の一過性のイメージがあります。
また、戦国ドラマを見るとよく見かけますが、リーダーが団扇で采配をしていることから、先導するときに使われていたことがわかりますよね。
中世末から近世、武将などが用いた指揮用の具。鉄・皮・木などでうちわ形に作り、日・月・二十八宿などを描き、全体に黒漆を塗る。陣扇。軍配。
出典:
https://kotobank.jp/word/%E8%BB%8D%E9%85%8D%E5%9B%A3%E6%89%87-487871
携帯できない不便さはあるのですが、風量を起こす力があるのは、扇子よりも団扇です。構造上、柄の先から先端までの距離が長いほうが、
テコの原理によって、断然、風量がつよくなるそうです。
暑がりの人は、なるべく柄の部分が長い団扇を購入・使ってくださいね。
以上、夏に重宝する扇子と団扇についてでした☆まだ暑さは続きますが、どうぞお体ご自愛ください。
(文/Kayoko Enomoto)
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